神にそむいても


「美姫こっち!」

智が茫然としてる私の手をひっぱってくれて、
きた道を急いで引き返して今度は左に針路をとる。

私たちはひたすら走った。


道が狭くなっていて私たちがやっと通れるぐらい。
草木が顔や腕、足をすっていく。

ピシッ。

「いたっ!」

ワリと太めの枝が思いきり私の腕に当たって思わず声が出る。

「大丈夫か!?」

「うん、ヘーキ!」


「こっちだ!」

後ろのほうで声がする。
だけど、確実にさっき見た時よりも声の距離が近くなってる。


これって前に見た夢みたい。

でも、違う。あの時とは。
今は智が一緒。

私は智の手を強く握った。



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