神にそむいても


っていうか、智は!?

「ねぇお母さん」

「ん?」

私の顔を本当にうれしそうに見てるお母さん。

ズキンッ。
そんなお母さんを見ると、罪悪感で胸が痛む。


「智は?」

冷静を装ってきく。

「智なら、」

お母さんが話し出したちょうどその時、ドアが開いた。

智……。

二人で一斉にそちらを見ると、そこには病衣を着た智が立ってた。


「美姫!」

私が目を醒ましてることに気づいて
智は目をまんまるくして急いで近づいてきた。

思わず上体を起こす。

「美姫、無理しちゃだめよ」

「大丈夫!」

お母さんが慌てて私をまた横にさせようとするけど、
それを振り払うように体をゆすった。


「智……」

涙が一瞬にしてあふれる。

智とあの世界で過ごしたことはすべて夢だったのかな?

……でも、逢えたことは単純にやっぱりうれしい。


「よかったっ」

智はくしゃっと笑ってくれる。
そして、私に視線をくれたまま、
お母さんとは反対側のベッド脇にあったスツールに腰掛けた。


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