神にそむいても


三日後、
検査なんかの結果が異常なくて無事に退院することになった。


「準備できたか?」

病室で待っていると現れたのは智。

「智!うん!」

ここが一人部屋で自分たち以外いないのをいいことに智に抱きついた。

どちらからともなく唇を重ねる。

あぁ、智だ。

唇の感触、味。
すべてあの世界で味わってきたものと一緒だ。


「ヤッバ!!マジ、やべ」

唇がはなれると同時に私をかき抱くともだえるように情けない声を上げる智。

「どした?」

顔を上げると、
口調同様に情けないカオをしてて
「いや、ベッドもあるし、誰もいないしさ~」
とチラチラ私を見る。

あ……、そういうことか。

智の胸に顔をうずめてクスクスと笑った。


「なんだよ、健全な男子高校生の性欲なめんな」

智も笑いながら冗談っぽく言う。

「私もおんなじだよ?」

テレくさくって顔をうずめたまま言う。

「あーもうっ!!煽んなっ」

「クスクス」

智がかわいい。

智にまわしてる腕の力をこめた。


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