神にそむいても
『美姫は私の妹のコなの』
あの日、お母さんはそんなことから語り始めた。
私の本当のお母さんが私を身ごもったのはハタチの時。
相手も同い年でふたりは大学生だった。
お互い学生だったこともあり、
籍だけは入れてお互いに実家暮らしだったらしい。
私が生まれた日がお母さんの命日でもあった。
お母さんがお父さんに会いに行ってる途中に事故に遭い、
私だけはかろうじて助かった。
まだ学生で将来のあるダンナさんに
いきなり子育ては大変だろうってことで両家で話し合った結果、
ウチのおじいちゃんおばあちゃんが引き取ることになった。
智のお母さんであり私の育ての母である伯母さんは智を産む前に離婚していて、
手に職をってことで智を産んだあとに看護学校に通い。
その間、智も祖父母のウチに預けられていた。
そして、ウチに仕送りをしてくれてるのは智のお父さんじゃなく、
本当は私のお父さんだった。
で、お母さんは無事に看護師になり、智を引き取りにきた日。
『智も美姫も離れたくないって泣いて泣いて』
そう言って笑った。
そして、私は智と一緒に
伯母さん、つまりは今のお母さんに育てられることになった。