神にそむいても
「はぁ~あっつー!ゆだるわ~」
小さくつぶやきながら机に突っ伏した。
「それを言うなら、『“うだる”ですよ、葛城(カツラギ)さん』」
現国担当で言葉遣いにチョー厳しいマルちゃんこと丸谷(マルタニ)センセーの口調をマネする声が頭の上からする。
顔を上げると、ニッと笑ってるしほりがいた。
「似てるっしょ?」
「うん、チョーうまい」
ニヤリ。
笑みを返すと、しほりはますます顔を崩した。
「次、視聴覚室だって」
「え、マジで?やったね~。涼める~」
ウチのガッコーは各教室にエアコンはついてるけど、なかなかつけてもらえない。
だけど、視聴覚室だとかそういう特別教室は冷暖房完備だから、夏は涼しく冬は暖かく天国なんだよね~。
ペンケースと古文の教科書とノートを持って、しほりと一緒に教室を出た。