神にそむいても


『帝、こちらへ』

奥のほうからあらたな声をきこえてくる。
足音は2人分。

そうして現れたのは、中年の男性2人。
男たちは聖徳太子がしていたような古代貴族の格好をしてる。

よく見ると、私を取り囲んでいる男たちも同じ。

あらたに現れた男2人に、3人は一斉にお辞儀をした。

2人組の男の片割れは男どもの間をすりぬけると、じりじりと私ににじり寄ってくる。
中年のギラギラと脂ぎったカオ。正直キモい。


『……姫……』

必死であとずさろうとするけれど、腰が抜けてしまってその場でジタバタするしかなかった。

ヤダ!ヤダ!!
キモい!!こないで!!


『……あなたはもう、私のものだ』

うわぁぁぁ!!

濁ったような瞳で見つめてそんなこと言われても、
背筋にゾワゾワとしたものがうごめくだけ。

っていうか、イミがわからない。
私に言ってるの?


『……になど渡さない!!』

私の目をじっと見つめながらそう叫ぶと鬼の形相になり、
私の手首をぎゅっと握りつぶすかのように持つ。

痛い!痛い!痛い!

放そうとすればするほどに、食い込んでくるその男の手。

やめて!!助けて!!

智!!智!!


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