神にそむいても


「ホントに!?やったね~」

「きゃあっ」

驚いたような声を上げたかと思うと、孝くんは横から抱きついてきた。

勢い余って抱きついてきたもんだから、私は空いたスペースに思いきり体が傾いてしまい、
それはまるで孝くんに押し倒されているかのような体勢になってしまった。


「ごめん……」
と言いつつも離れる気配のない孝くん。

それどころか、言葉とはまったく正反対にそのまま体重を掛けてきた。


「ありがとう」

「あ、耳弱いんだぁ。ふぅ~」

耳元でささやくから首筋がゾクッとしてしまい、
思わずすくめた私に耳に息を吹きかける。


「もうっ!ダメだって!」

右耳を一生懸命ふさいでも、
孝くんは笑いながらその手をひょいっと軽くのけ、相変わらず息を吹きかけてくる。

子供のイタズラとは程遠い。
色気を含んだ戯れ。


「もうっ!!」

軽く怒った視線の先には真剣な表情を浮かべた孝くんがいた。

どうしたの?

問いかける言葉が声にならなかった。
だって、唇がふさがれてしまったから。


だけど、すぐに唇は離れた。


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