神にそむいても


午後からの見学もバスの中で待機したけれど、
ホテルに着いてからはみんなと一緒に行動できるまで回復した。


あの後、孝くんはクラスメートがバスに戻ってくる前にみんなのところに行った。

だから、あの時のふたりだけの時間、なにをして過ごしていたのか、誰も知らない。

だけど、智は私と孝くんが一緒にいたことはわかってるはず。

明日の自由時間の件は間違いなく伝わってるだろうけど。

それはもう、どうでもいいといえばどうでもいい。
だって、智だって多分太田さんと過ごすんだろうから。

でも、あの時なにをしたかは知ってほしくない。

智とはもうかなわないことだし、
そういうことをする相手はもう別々の人だって智も頭ではわかってるはず。

だから、私から離れて太田さんと過ごすんだろうから。

だけど、やっぱり知られたくない。
孝くんとキスしたこと。

そして、ワガママだってわかってるけど、
やっぱり智には他の人とキスやそれ以上のことしてほしくないって思ってる。

智が私以外の他の誰かと幸せになることが苦しい。


< 51 / 233 >

この作品をシェア

pagetop