神にそむいても
枕元に置いたバッグの中からlineが届いた音がする。
孝くんかな?
体の向きをそのままに左手だけ伸ばして、手探りでスマホを取り出した。
え……。
“今日体調よくないって孝にきいた”
智からだった。
最近はめったに連絡なんてしてこない智との最後のやりとりは1か月前。
母親の勤務の変更で急きょ夜勤になったことを私から知らせて、
”了解”ってだけ返してきたもの。
こんな風に心配してくれてたのはいつだっけ。
あぁ、あの夜までか。
私たちがイケないことをした夜ぐらいまでだったっけ。
昼間の孝くんとのキスのことがよぎる。
まさか孝くん言ったりしてないよね?
智と友だちだって言っても、智と私は兄妹なんだし。
言わないよね。
こういう時だけ兄妹を言い訳に利用しようとする。
サイテーだな。
“うん、あんまよくないよ”
待っても待っても。その後の返信は来る気配がない。
なにが言いたいんだろ。
30分以上待ってみて、スマホを投げ捨てるようにして頭の上に置いた。