神にそむいても


「よし行こうか」

クラスメートでバスケ部の次期主将と言われてる仙道くんが走り始めると、
みんなそれに続くように走り出す。

一方、孝くんは小走りで私のほうに近づいてくる。

智はチラリとこちらを見たけれど、すぐに走り出した。


「孝行くぞ!」

仙道くんが段々と遠くになりながら、孝くんをせかす。

「は~い。……じゃね美姫ちゃん」

そう言いながら、私の隣に並ぶと、
「今日楽しみにしてるね」
とそっと耳打ちをして孝くんは走り出し、最後尾の智に並んだ。


楽しみにしてるね、か。

「……しなくていいのに」

小さくなっていく孝くんと智の姿を見ながら、小さくつぶやいた。


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