神にそむいても


今日は、午前中はバス移動で法隆寺のほうまで足を伸ばすことになっている。

法隆寺を見学して昼食、
そして午後から夕方の集合時間までは自由行動。

私は孝くんと、智は太田さんと。
それぞれ別々の人と過ごす。

そして、ジンクス通りならば、
私は孝くんと、智は太田さんと付き合うことになるんだろう。

時間が刻々と迫っている。

どうにかして私と智がそのような形をとらなくてすむ方法はないのか、
なんて思うけれど。

方法なんてない。
そんなもの存在しない。

この世界はイジワルだ。
なんて、
私がおかしな感情を抱くからイジワルに感じることぐらいアタマではわかってる。

ココロがついていかない。
ただそれだけ、たったそれだけのハナシ。


「やっぱりまだ体調悪いの?」

しほりが心配そうに私のカオをじっと見る。

「う~んどうだろ。でも、なんかちょっとムカムカするかも」


朝食はバイキング。
色々欲張ってお皿に盛ったものの、ほとんど食べれない。

起きた時は全然そんなことなかったのにな。

しほりや他の友達はとっくに食べ終わって、部屋に戻ろうかって雰囲気になってるのに。

あきらめきれない想いがカラダにまで支障をきたしたのか。
でも、私だけが体調を崩しても、智は……。


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