神にそむいても
「あ、大友だ」
食べ終わった大友くんが手を振るしほりに気づき、嬉しそうに手を振り返す。
まるでシッポが見えそうなくらいニコニコしてる。
孝くんがマメ柴なら、大友くんはゴールデンレトリバーかな。
いいな、ふたりは。
この後の時間がお互いに楽しんだろうな。
「美姫ちゃん!大丈夫?」
大友くんの少しだけ後ろを歩く孝くんが走り寄ってきた。
「午前中も気分悪かったみたいだけど」
「うん……、もう大丈夫みたい。ご飯もしっかり食べれたし」
「そうなんだぁ。よかった~」
「よかったな、孝」
「うん!」
「美姫ちゃん、孝ね、
『美姫ちゃんが体調悪いから今日の午後一緒にまわれなかったらどうしよう!カップルになれなーい!!』
って泣いてたよ」
「余計なことは言わなくていいっ」
ドスッ。
思いきり、孝くんのパンチをくらって一瞬後ろにのけぞった。
「ちょっ、お前!本気で殴んなよ」
「大友がバラすから悪いんだよ!」
「まぁまぁ」
「チッ。しほりちゃんに感謝しろよっ」
「ハイハイ」
しほりの仲裁に、冗談まじりで捨てゼリフを吐く孝くんとそれをニヤニヤしながら受け流す大友くん。
そして。
「じゃしほりちゃん行こっか」
「そだね~」
しほりと大友くんはまるで二人の世界って雰囲気で、手までつないで外に出ていった。