神にそむいても


「あなたのいたところよりきっとずっと栄えているわよ」

イヤそうにしてる理由をきこうと彼女を見返した時にそう言われ、
なんとなく訊きそびれた。

「……でしょうね」

ぼんやりと返す。

そりゃそうだ。

関東なんて鎌倉幕府やその後の江戸幕府が開かれるまで、
ううん、もしかすると、明治時代になるまで?

とにかく、関西から見たら昔はチョー田舎扱いだったことぐらい知ってる。

「あら、そのようなことは覚えてらっしゃるの?」

あ、ヤバ!
姫が怪訝そうに私を見てる。

「いやっ、そういうワケではなくて、
 なんとなくこの立派なお住まいといい、そうなんじゃないのかな~と」

「そう?」

少し疑わしそうにしているものの、それ以上は深く追及してこない。

ふぅ~危ないな。
ホント、うかつなこと言うとしょっ引かれるぞ。

落ち着け私。

とりあえず、わかったことを整理しよう。

まずここは難波。
今の大阪。

で、時代はおそらく平安時代より前。

ここが都で難波に都があったのは奈良時代?
いや、飛鳥?
とりあえずそのあたり。

目の前の人はおそらく高貴な人で、お兄さんがいるらしい。
そして、若い頃のお母さんとこの姫は似ているらしい。

これって私の日本史の知識をテストされてる夢?




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