神にそむいても


翌朝。

目覚めた場所は昨日の夜と同じ寝床だった。

これって本当に夢?
もしかして現実?

いや、ありえない……。

じゃあ、醒めない夢?
このままずっとこの夢と付き合っていかなくちゃいけないの?

私、どうなっちゃうんだろう……。

智に逢いたい。


「おはようございます」

気づくとそばに座っていた女性がほとんど表情を崩さずにひれ伏すように頭を下げた。

うたさんの仲間?
今でいう仲居さんみたいな人?


「おはようございます」

挨拶を返すと、ゆっくりと顔を上げる。
年齢は三十代くらい?

「今日から美姫さまのお世話をさせていただきます、秋保(アキホ)と申します」

「私についてくれるってこと?」

「はい」

マジか!
どんだけVIP待遇なの?

いや、もしかしたら私に対する疑いが完全に晴れてないから、あえての監視役かな。
うん、それが合ってるかな。


「姫さまが、美姫さまをお呼びしております」

「あ、はい」


秋保さんに手伝ってもらって、
寝間着から昨日着ていた服に着替えてから姫の部屋に向かう。


昨日はおフロも入らずに寝た。

やっぱりこの時代って基本おフロって入ったりしないんだよね、確か。

だから、平安貴族ってお香焚いて臭いをごまかしてたらしいし。
多分、この時代もそうだよね。

うわーん!
おフロ入りたいんですけどっ!


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