【新】レンタルフレンド～お友達をお貸しします～

――バシンッ！

一瞬、目の前で何が起こっているのか小夜子は理解ができなかった。

由紀恵が投げた電話は宙に浮かんで、浜島の顔にクリーンヒットした。

電話をぶつけられた浜島の躰はよろめいて、その場に崩れ落ちた。

彼女の鼻から血が出ている。

次の瞬間、由紀恵は椅子を持ちあげるとそれを手に倒れている浜島のところへ駆けてきた。

「きゃーっ！」

小夜子が悲鳴をあげたその瞬間、椅子は浜島の躰をたたいた。

「お前のせいで…！

お前のせいで…！

お前のせいで…！」

由紀恵は叫びながら、椅子で浜島の躰を何度もたたいた。

髪を振り乱し、真っ赤な顔で叫んで、椅子でたたいているその姿は、悪魔よりも怖いと言っても過言ではなかった。

震えながらただその光景を見ていることしかできなかった小夜子だったが、
（どうして浜島さんは抵抗をしないの…？）

浜島が抵抗を一切しないことに、小夜子は気づいた。