【新】レンタルフレンド~お友達をお貸しします~
躰に与えられる衝撃に浜島は耐えていた。

まるで中学時代に由紀恵をいじめたその罪を償うかのように、浜島はただ耐えていた。

――贖罪

小夜子の頭の中に浮かんだ文字は、それだった。

浜島は罪を償っているのだと、小夜子は理解した。

中学時代に自分勝手な理由で由紀恵をいじめ、彼女から友達を奪ったことを、浜島は償っているのだと。

もしかしたら電話をしていたのも、会社に乗り込んできたのも、由紀恵に中学時代のことを謝罪したいからではないのだろうか?

だから由紀恵に電話を投げられても、椅子でたたかれても、浜島は抵抗しなかった。

罪を償うために、謝るために、彼女は耐えていた。

「こっちです、警備員さん!」

幸代の声と何人かの警備員が社長室に乗り込んできたのは、ほぼ同時だった。

由紀恵は取り押さえられ、浜島は救出された。

救出された浜島の躰は傷だらけで、彼女は気を失っていた。
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