【新】レンタルフレンド~お友達をお貸しします~
「幼稚園の時からの親友だったんでしょう?

ちゃんと、それこそ気が済むまで過去と向きあって話しあってきなさい」

優しく諭すように言って、小夜子は綾美の手を離した。

「――綾美…」

みち子が綾美の名前を呼んだ。

「――みち子…」

それに答えるように、綾美もみち子の名前を呼んだ。

2人が話しあいを始めたことに、小夜子はホッと胸をなで下ろした。

ふと視線を向けると、誰かがパタパタ…とその場から走り去ったことに気づいた。

その後ろ姿に、
「――社長…?」

見覚えがあったので、小夜子は呟いた。

(まさか、ね…)

由紀恵はいつものように社長室にいたので、そんな訳がないかと小夜子は思った。

(見間違いかも知れない)

小夜子はそう自分に言い聞かせると、再び2人の方に視線を向けた。
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