【新】レンタルフレンド~お友達をお貸しします~
「中学3年生に進級する前の春休みだった」

浜島が言った。

「お父さんが覚せい剤所持の現行犯で警察に逮捕された。

そのせいで市議会議員だったおじいちゃんは退職して、あたしたち家族は田舎へ逃げた」

その当時のことを思い出したのか、浜島はそこで言葉を区切ると洟をすすった。

「でもあたしたち家族が逃げた地域は集落の身内意識が強くて、あたしたち新参者は相手にされないどころか無視をされたの。

転校した中学校で仲間外れにされて、都会出身だからと言う理由でいじめられたわ。

あたしは夏休みが終わってから不登校になって、高校にはどうにか進学したけれど周りが怖くて通うことができなくて1ヶ月で中退してひきこもりになった。

おじいちゃんは認知症になって、お母さんはうつ病になった」

(私よりも、ずっとひどい目にあっていたなんて…)

初めて知った浜島の過去に、由紀恵はただ驚くことしかできなかった。

かわいそう、ざまあみろと言う気持ちは全くなかった。
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