【新】レンタルフレンド~お友達をお貸しします~
彼に頭をなでられるのは好きだ。

だけど、今はその大きな手に嬉しさを感じている場合ではない。

――愛香もさ、今度友達を紹介してよ

そう言った各務原の言葉が愛香の頭の中でリピートしていた。

愛香の胸がチクリと痛んだ。

「…うん、今度ね」

痛む胸を感じながら、愛香は首を縦に振ってうなずいた。

各務原と駅で別れると、愛香は1人暮らしをしているマンションに向かって歩いた。

春の夜はまだコートが手放せないくらいに寒い。

「――友達を紹介してよ、か…」

各務原に言われた言葉を呟きながら、愛香はマンションの中に入った。

1LDKの部屋に入ると灯りをつけて、コートをハンガーにかけた。

カバンからスマートフォンを取り出すと、ベッドのうえで横になった。

明日は日曜日で、病院は休みだ。
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