【新】レンタルフレンド~お友達をお貸しします~
新入社員のマキヨの指導係となったのは、市橋成美(イチハシナルミ)と言うおかっぱ頭の女性だった。

彼女は澄香の同期で、1児の子供を持つ既婚者だ。

今年の2月に産休が終わり、この会社で再び働くことになったのだ。

社員の8割がほとんど女性と言うこともあるせいか、女性のための育児休暇や保険がとても充実している。

「成美、大丈夫かしら?

復職して早々、あんな変わった子の指導をすることになるなんて」

澄香は心配そうな様子で、成美とマキヨを見つめていた。

朝礼はすでに終わり、社員たちはそれぞれの仕事へと向かって行った。

今日は特に予定はないので、デスクでの事務作業だ。

「成美だから、“ナルナル先輩”って呼んでもいいっすかー?」

マキヨの大きな声がオフィスに響いた。

指導係の成美は苦笑している。

「うわーっ、先が思いやられるわ…。

しかも上司をあだ名で呼ぶって、どう言う神経をしているのよ…」

澄香は頭痛がすると言うように、指でこめかみを押さえた。
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