【新】レンタルフレンド~お友達をお貸しします~
何だかハデな出で立ちの男だと、愛香は思った。

(誰だったっけ、この人…?)

名前を聞く必要はないと思ったから、自己紹介の時は適当に受け流していたのだ。

愛香が男の顔をじっと見つめていたら、
「ああ、忘れちゃった?

俺、そんなに存在感が薄いかな~」

目の前の男はクスクスと笑った。

「俺、田上眞一郎(タガミシンイチロウ)。

君は確か、白川愛香ちゃんだよね?」

男――田上は頼んでもないのに、自分の名前を言った。

「はあ、そうですか…」

愛香は呟くように返事をすると、マキヨの方に視線を向けた。

当のマキヨは男性陣のうちの1人と楽しそうに会話をしていた。

(どうしよう…)

彼女に救いを求めようにも声をかけることができない。

このような状況になってしまったことに、愛香は困ることしかできなかった。
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