【新】レンタルフレンド~お友達をお貸しします~
ボックスには駄菓子が常備してあった。

そこから酢だこさん太郎とベビースターラーメンを手に取ると、リビングへと足を向かわせた。

ソファーに腰を下ろすと、手に取ったばかりの駄菓子を食べ始めた。

駄菓子がご飯代わりと言うのはよくあることである。

1日3食の食事が駄菓子と言う日もある。

上京するまでの18年間を過ごした実家では、駄菓子を食べること自体が許されていなかったのだ。

安里は今の生活をとても気に入っていた。

欲しいものは津田に言えば何でも買ってもらえて、おこづかいもくれる。

食べたい時に好きなものを食べたって、夜遅くに家に帰っても自分に向かって文句を言う人は誰もいない。

この生活に満足をしている…はずなのだが、どこか満たされていないことに気づいた。

「何でなんだろう…?」

友達にも彼氏にも恵まれて、自分が欲しいものも今は簡単に手に入る。

だけど、胸にぽっかりと穴が空いたような感じがしていた。
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