【新】レンタルフレンド~お友達をお貸しします~
安里と一緒にタワーマンションを出ると、その前に女が1人いることに気づいた。

(すごいな、あの人もここに住んでいるんだ。

女性実業家ってヤツか…)

世の中にはいろいろな人がいるんだなと思いながら、小夜子は安里と一緒にきたばかりのタクシーに乗った。

(わたしじゃ、まずこんなところに住めないわ…。

お父さんは会社員で、お母さんはスーパーマーケットのお肉屋さんでパートをしている主婦なんだもん…)

移り行く街の景色を窓から見ながら、小夜子は心の中で呟いた。


ついたところは『エンペラーホテル』と言う“セレブご用達”として有名な最高級ホテルだった。

この最上階にあるレストランが安里の友達の誕生日パーティーの会場だそうだ。

「うわーっ…」

右を見ても、左を見ても、自分とは違い過ぎる人種の人間がたくさんいた。

自分みたいな庶民生まれの庶民育ちは誰1人としてそこにいない。
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