【新】レンタルフレンド~お友達をお貸しします~
窓の外に視線を向けると、煌びやかな夜景があった。

食事は全てバイキング制で、美味しそうな料理が視界に入ってくるが、それを食べようと言う余裕は小夜子の中になかった。

自分とは違い過ぎるセレブな人間に戸惑い、安里の後ろをついて行くのがやっとである。

(川越先輩だったら知りあいを作るために積極的に話しかけて、春田さんだったら余裕でパーティーを楽しむんだろうな…)

この場にいない2人の様子が手に取るようにわかって、小夜子は息を吐きたくなった。

正直なことを言うと、彼女たちがうらやましい。

「あっ、安里だ!」

その声に視線を向けると、ドレス姿の女が嬉しそうに安里に駆け寄ってきた。

「美紀!」

安里は親しそうに彼女に笑いかけた。

美紀と呼ばれた女が安里の後ろにいる小夜子に気づいたので、
「こんばんは」

小夜子はあいさつをして美紀に笑いかけた。

「あ、こんばんは…」

戸惑いながらだが、美紀もあいさつを返してきた。
< 301 / 405 >

この作品をシェア

pagetop