【新】レンタルフレンド~お友達をお貸しします~
「由紀恵、お願い!

話だけでも聞いて!」

彼女はすがるように、開いているドアに向かって叫んでいた。

「ゆ、由紀恵…?」

彼女の口から出てきたその名前に、小夜子は驚いた。

その名前には聞き覚えがあった。

「あんたの話なんか聞きたくないわ、この裏切り者!」

叫ぶように言ってそこから出てきたのは、
「しゃ、社長!?」

小夜子は驚きのあまり、思わず叫んでしまった。

それに気づいたと言うように、由紀恵の視線が自分の方に向けられた。

「あっ、えっと…」

(マズい、どうしよう!)

小夜子の頭の中はキャパオーバー寸前だった。

まさか、安里の隣の部屋に由紀恵が住んでいたとは思いもしなかった。

(さすが、社長だ…って、どうでもいい!)

今はノリツッコミをしている場合ではない。
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