【新】レンタルフレンド~お友達をお貸しします~
マンションを後にしたその足は、重かった。

――超せいせいした!

そう言った安里の顔が頭から離れることができなくて、小夜子は息を吐いた。

(本当に、それでいいのかな…?)

両親の異常なまでの愛情のせいで、友達ができなかったうえにいじめられていたと安里は言っていた。

その愛情から逃れて欲しいものが何でも手に入る今は、とても幸せだとも言っていた。

「――はあ…」

思わずため息をついたら、同じ音が聞こえてきた。

視線を向けると、
「あっ…」

そこにいた人物に、小夜子は声をあげた。

高子だった。

「ど、どうも…」

彼女と目があった小夜子は小さく会釈をすると、その場から離れようとした。

「――あの…」

高子に声をかけられたので、その場から離れることができなくなってしまった。
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