【新】レンタルフレンド~お友達をお貸しします~
「妻は複雑な家庭に生まれ育ったと言うこともあってか、子育てに関しては非常に強い意識と憧れを持っていました。

何せ父親と継母は2つ下の妹をかわいがってばかりで、妹が大切に育てられていたのに対し、自分はいつもほったらかしだったと言っていました。

妹には継母が作ってくれた料理やおやつ、さらには自分が作った服やおこづかいなどを与えられていたのに、自分は継母の視界に入ることすらも許されなかったそうです。

1日の食事は学校給食だけ、服は近所の家から分けてもらったボロボロの古着で…妻は両親から愛されたことがなかったと泣いていました。

結婚式の時だってそうです。

妻には“お金のムダ”と言う理由で1円も出さなかったのに、妹には“大事な門出だから”と言う理由で300万円も出したんです。

そのこともあってか、妻は両親に愛されなかった分の愛情を安里に注いでいたんでしょう」

金子は言った。

「そうだったんですか…」

安里の母親の複雑な事情に、小夜子は呟くように返事をすることしかできなかった。
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