【新】レンタルフレンド~お友達をお貸しします~
「えっ、ちょっと待って!」

小夜子が止める間もなく、曲が流れだした。

「はい、小夜子ちゃん」

綾美がマイクを差し出してきた。

これは嫌でも一緒に歌うしかないかも知れない。

(もうこうなりゃヤケだ!)

小夜子は綾美の手からマイクを手に取ると、一緒に歌い始めた。

キャラメルポップコーンやポテトチップスのスナック菓子をオーダーして、それをつまみながら小夜子と綾美は歌った。

2人がカラオケ店を後にしたのは、夜の6時を過ぎてからだった。

「あー、楽しかったー!」

そう言った綾美の声はしゃがれていたが、顔は笑顔だった。

心の底から彼女が楽しんでくれたことに小夜子はホッとしていた。

「綾美ちゃん、すごく歌っていたよね」

そう声をかけた小夜子の声も綾美ほどではないがしゃがれていた。
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