【新】レンタルフレンド~お友達をお貸しします~
「えっ?」

聞きとることができなくて、小夜子は聞き返した。

「あの、お電話…」

「切ってちょうだい!」

言葉を紡ごうとした小夜子をさえぎるように、由紀恵が悲鳴のような声で叫んだ。

二重の大きな目はさらに大きく見開かれ、小夜子を見つめている。

その様子に、小夜子は由紀恵が怒っていることに気づいた。

「は、はい!」

これ以上彼女を刺激しないためにも、小夜子は受話器を置いて電話を切った。

いつも冷静な由紀恵が一体どうしたのだろうか?

恐怖で起こりそうになる震えをどうにか押さえながら由紀恵を見つめていたら、
「ごめんなさい、あなたはまだ入ったばかりだからわからなかったわよね」

小さな子供に言い聞かせるような優しい声で、由紀恵が言った。

先ほどの悲鳴のような声は、自分の気のせいだったのだろうか?

「す、すみません…」

そう思いながら、小夜子は呟くように謝った。
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