【新】レンタルフレンド~お友達をお貸しします~
悪いのはいじめられた由紀恵ではない。

自分勝手な理由で彼女をいじめた浜島と娘の行動を棚にあげて学校に抗議をした身勝手な彼女の母親が悪いのだ。

「担任の先生はその後、どうなったんですか?」

小夜子は続きを促した。

「精神を病んで退職したって…」

呟くように言った幸代に、小夜子は目をそらすようにうつむいた。

当時の由紀恵は、どんな気持ちだったのだろう?

友達だと思っていた同級生たちは全員離れて、浜島側について一緒になって由紀恵をいじめた。

頼れるはずの先生たちも浜島母娘を恐れて、いじめを訴えた由紀恵の担任と同じ末路を歩むのが怖いからと言う理由で事実を見て見ぬふりをした。

誰も味方をしてくれないと言う現実はつらくて、苦しかったことだろう。

「――社長は1人で戦った、と言うことですよね…?」

声を震わせて呟くように言った小夜子に、
「…そう言うこと、よ」

幸代も声を震わせながら返事をした。
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