【新】レンタルフレンド～お友達をお貸しします～
そう言えば、先ほどから幸代はいつもの“社長”ではなく、“由紀恵ちゃん”と名前で呼んでいたと言うことに小夜子は気づいた。

「まあ、そうよね。

光浦さんはまだ入ったばかりで何も知らないんだから、仕方がないわよね」

さり気なく嫌味を言われているのは気のせいだと、小夜子は自分に言い聞かせた。

「誰とも仲良くしようとしなかった由紀恵ちゃんを疑問に思って私から声をかけたことがきっかけだった。

その時に由紀恵ちゃんは前の学校で受けたいじめを話してくれたわ。

自分からいじめられていたことを話すのはつらいはずなのに、由紀恵ちゃんはわざわざ話してくれたの。

今考えてみると、誰とも仲良くしたくないって言う由紀恵ちゃんからのメッセージだったと思う」

その当時のことを思い出したのか、幸代は小さく息を吐いた。

「でも私もしつこい性格だから、由紀恵ちゃんにつきまとった。

そしたら由紀恵ちゃんも根負けしたのか、私を友達と認めてくれたわ」

ずいぶんと時間がかかったけどねと言って、幸代は笑った。
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