【新】レンタルフレンド~お友達をお貸しします~
ドーン!

その瞬間、大きな音がしたかと思ったら空が明るくなった。

「あっ、始まった!」

綾美に言われて空を見あげると、真っ黒な夜空に大きな花が咲いていた。

「わーっ、キレイー!」

美しい花火に小夜子は声をあげた。

花火は連続で打ちあげられ、真っ黒な夜空を彩って行く。

チラリと、小夜子は隣にいる綾美に視線を向けた。

彼女の視線は夜空を彩っている花火に見とれていた。

その様子を見ながら、小夜子は願っていた。

(来年は、綾美ちゃんに本当の“友達”ができていますように…。

わたしのようなレンタルじゃなくて、本当の“友達”が綾美ちゃんの隣にいますように…)

次から次へと打ちあげられる花火に夢中で綾美は気づいていない。

小夜子はフッと微笑むと、綾美から花火で彩られている夜空へと視線を向けた。
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