【新】レンタルフレンド~お友達をお貸しします~
花火大会が終わった。

「花火大会、すごくよかったねー」

綾美が声をかけてきたので、
「そうだね」

小夜子は返事をした。

海岸を後にすると、小夜子と綾美は駅のコインロッカーから預けた荷物を取り出した。

「来年もまた一緒に行こうね」

綾美が笑顔でそう言ってきたので、
「…うん、行こうね」

小夜子は首を縦に振ってうなずいた。

(その一緒に行く人がわたしじゃなくて、“友達”でありますように…)

小夜子は先ほどと同じ、心の底から願った。

「じゃあ、帰ろうか」

「うん、帰ろう」

2人で切符売り場に向かおうとした時、
「――綾美?」

どこからか、綾美の名前を呼ぶその声が聞こえてきた。
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