【新】レンタルフレンド~お友達をお貸しします~
「ねえ、綾美…」

バン!

「綾美ちゃん!?」

小夜子は驚きのあまり、綾美の名前を叫ばずにいられなかった。

綾美が彼女の顔に向かって持っていたカバンを投げたからだ。

「――あんたなんか…」

そう言った綾美の声は震えていた。

「あんたなんか友達でもなんでもないわ!

わたしの前に2度と現れないでよ!」

綾美は彼女の顔に向かって叫ぶと、逃げるようにその場を後にした。

「あ、綾美ちゃん…!」

小夜子が呼び止める声は走り去った綾美の耳には届いていなかった。

あんな綾美の姿を見たのは初めてで、小夜子はどうすればいいのかわからなかった。

彼女の方に視線を向けると、呆然とした様子で綾美が去って行った方向を見つめていた。
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