偽りの副会長に恋をした
尾方さんと、こんな些細なことを話している間に、時間はあっという間に過ぎてしまっていた。

「…あ、すみません。もう、家が近くなので、大丈夫です。ここまで送っていただき、ありがとうございました」

「いや、ちゃんと家まで送るよ?」

「大丈夫ですよ。それに、先輩も早く家に帰った方がいいと思いますし。親御さんが、きっと心配しているでしょうから」

心配…してくれてるのかな?僕は心配してくれてるとは思はないけど…

「…そうですね。では、お言葉に甘えて今日は失礼します。ですが、今度はちゃんと家まで送らせていただきますから」

「わっ分かりました」

「では、僕はこれで失礼します」

そう言い、僕は自宅の方へ足を進めた。

不本意ではあったが、こちらがあまりにも押し切ると警戒されやすくなる。だから、追求するのはやめた。

せっかく、会話が出来るようになったのだから、慎重にいかなくちゃ。

尾方さんは、今までのことは違う全く違うタイプの子だ。

より慎重に…丁寧に…探っていかないとね。


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