永遠に覚めることのない夢【参】
「旭子さん……………。」

「ほら、泣くのはおやめ。」

私は「はい」と、彼女にハンカチを渡した。

ひく、ひく、と、しゃくり声をあげながらハンカチで涙を脱ぐっていく。

泣きすぎて瞼が腫れてしまった彼女は、ハンカチで顔を隠している。

「いいよ。それ、あなたにあげるわ。」

「え、でも。」

「大丈夫。使った後のものでごめんなさいね。」

「いいのですか?だって、こんな高そうなのに。」
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