永遠に覚めることのない夢【参】
『お姉様、お姉様。』

あぁ。
これで、落ちるのは2度目かしら。

『お姉様、大丈夫ですか。』

そうだ。
あれは、5,6年前のことだわ………


『常磐、あなた、どうしたの?』

常磐は、家の桜の木(花はもう咲いていないが)に手を伸ばして、何かを取ろうとしている。

『あ、お姉様。あたくしの帽子が引っ掛かってしまったのですわ。』

『登って取ればいいじゃない。』

『無理ですわ、あたくし、お姉様のように身軽ではないのです。』
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