君と永遠を


だけど、千歳ちゃんに連れてこられて僕は変わってしまった。


千歳ちゃんは僕に自由を与えた。
僕はこの研究施設を出ることだってできたし、研究をやめる権利だってあった。


千歳ちゃんは僕に意思を与えた。
嫌な時は嫌だって言っていいのだと、泣きたい時は泣けばいいのだと、教えてくれた。


永い年月を生きた僕の日常には自由なんてなかった。

何度も傷付く中で自分の意思も感情も失ってしまっていた。


千歳ちゃんは、とっくの昔に人間でいることを諦めた僕を、人間として扱ってくれた。

人間として過ごした毎日は、自分の感情を殺した日々よりもずっと楽しくて、輝いていた。


僕も人間として生きてもいいんだと思ってしまった。
人間として生きていたいと思ってしまった。


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