君と永遠を




ふと、鼻腔をくすぐる甘い匂いに気づいた。



その匂いを嗅いでいると、なんだか頭がぼんやりしてくる。



頭がはっきりしない。

体の力が抜ける。

まるで眠る前のようだ。




心地よいまどろみの中、僕の瞼は重たくなっていく。


……でも誘惑に勝てなかったのは僕だけじゃない。

このホールにいる人はみんな、眠り込んでいた。

千歳ちゃんの声と対峙していた彼すらも、銃を握ったまま眠ってしまっていた。



「誰かの為に生きることが悪い事だとは言いません。
でも、その為に心を殺すなんてのはすごく馬鹿らしい。
永遠に続こうと、80歳で死のうと、貴方の心は貴方のものです。
私は私の為に生きています。貴方も、貴方の為に生きるべきです」


薄れゆく意識の中、千歳ちゃんの声が千歳ちゃんみたいなことを言った。




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