駄菓子屋へようこそ(仮)
「幸実ちゃん!!どこに行ってたの!?お祖母ちゃんが倒れて大変よ!?」
「えっ!?」
わたしに気付いた近所のおばさん、同級生のお母さんに声を掛けられて動揺する。
慌てて家に飛び込むと、畳の上で布団に横たわったお祖母ちゃんがか細く息をしていた。
「……ばあちゃん??」
目の前の光景が、信じられないことになっていた。
お医者様が訪ねてきて、傍らに座って、脈を取っている。
「………ああ、…幸実、…ごめんねえ…?」
「実は前から腰も悪くて、さっき転んだ拍子に立てなくなって。手術するにも体の負担も考えたらリスクも高いから、もう無理だろうって」
「……ばあちゃん」
それしか出なかった。
「ばあちゃん、ばあちゃん!!やだよう!!ばあちゃん!!」
布団に駆け寄ってしがみつく。
「ばあちゃん……!!私まだなんにも恩返ししてないのに!!ばあちゃ…」
声もかすれた。
首を振るとか細い手で弱々しく手を握り返してくる。
「……いい子だったよ、幸実。……お店は……頼んだよ」
泣きながら、うんうん、と頷いた。
「…ああ、来て…くれたんだね、和平さん、…この子を、頼んだよ」