駄菓子屋へようこそ(仮)


そんなぐうたらな高校生活もあっという間に終わりを迎え。


「卒業したらどうするの??」


何となく2階の渡り廊下から校舎を見下ろしながらぼんやりとしているわたしに、佳澄が証書入りの筒で頭をこつんと叩く。


「あ~、とりあえず学校からの紹介の、隣町の工場に就職する予定」


「私はとりあえず京都の大学に行く。頑張れ、人見知り。直す気ないもんな~」


「そう簡単に直ったら苦労しないし佳澄こそすごいよね、知らない土地で一人暮らし」


「学生寮だけどね。ほんと変なの。駄菓子屋の娘の台詞とは思えんね」


あはっ、と笑う佳澄。
小学校から唯一、こんなわたしに声を掛けてくれる。


華奢な体型。眼鏡の似合うボブヘア。この可愛い笑顔とも、お別れなんだな。


それだけはなんか、心残りというか名残惜しくはある。


「連絡するし、また遊ぼうよ。ね」


「うん」



―――真っ青な空の下。
校庭の桜が、ふわりと散る。


卒業かあ………



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