駄菓子屋へようこそ(仮)
出会いました
そうして、高校卒業まで実家で暮らし、何の変化もないまま平和な日常を終えた。
この辺りでは中学で一旦、進学か就職かが面談で決まり、余程の家庭の事情がない限り、大抵、高校に進学するし、そのまま当たり前のように大学に進学する。
とりあえず高校は無事卒業したものの、進学するほどの学力もなく、ましてや他人だらけの大学で何を学ぶのかと。
取り立てて趣味も特技もないわたしは、隣町の外れの事務用品の工場に勤め始めた。
接客か介護補助系か、工場か。
その選択肢ならそれしかないだろう。
接客は元より人間相手だし、介護系は仕事しながら資格も得られるらしいけれど、それでも人間相手だし。
どちらも無理だと感じたわたしは、人見知りでもなんとかなるかな、と通いで工場にしてみた。
家を離れる度胸もなかった。
みんなどうして田舎や家が嫌なのか。楽なのに。