ラストレター(まだ高校生の君へ)【ダイジェスト版】プロローグ~第2章抜粋

終業後のホームルームを見学した後、私は赴任したら真っ先に行こうと思っていた図書室へ向かった。

『北鎌倉学園』自慢の図書室は、広々としていて蔵書も多いことで有名だ。

入口を入ってすぐのカウンターに、おかっぱ頭の図書係が座っている。

「まだ、開いてる?」

「はい。今日は五時半までです」

生真面目そうな返事を受け取って、思わず壁の時計を見る。

「あと、三十分か」

その時計の針に急かされるように、奥のコーナーにある哲学書の棚へ向かった。

入り口の正面に新刊や話題の書籍コーナーができていること以外は、本棚の位置も私の在学中とあまり変わっていないようだ。
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