セブンスガール

　洋服屋に到着した瀏児は姿が見えない三人を探しショッピングモールを歩き回り見つからず携帯で母さんに電話したのです。
　母さんに繋がると現在の居場所を聞きながら走りだし探しました。三人を見つけた瀏児は何をしてるのか聞きました。

　「母さん、洋服屋の前にいてって言ったじゃん。」
　「ごめんなさい、お腹すいちゃってね。」
　「まったく。母さん俺がどれだけ探し回ったかわかる？」
　「だからごめんってば、もうしないわよ。」

　母さんの子供じみた行動は今に始まった訳じゃないが探すのはいつも瀏児の役目だった。
　葵は瀏児に本屋の場所を聞いてきたのでした。

　「本屋？なんで？」
　「学校に通うのであればかなりの知識はいるはず、ですので資料がほしいからです。」
　「よっぽど勉強が気に入ったんだね。良いよ、案内するよ。」
　「ありがとう、瀏児兄さん。」
　「ってことで母さんと紅はここで待機していてくれよ。」
　「わかったわよ。」

　瀏児は葵を連れて本屋に行き、高校で役に立ちそうな参考書を数冊買って待ち合わせの場所に戻りました、が、また再び母さんと紅の姿がなく彼は頭を抱えて呆れました。

　「あー、もういい！帰ろう、葵帰るよ。」
　「二人を残して帰るんですか？」
　「そうだよ、携帯の残量もそんなにないから通話しながら探すのは無理だしね。」
　「わかりました。」

　葵は渋々瀏児の話に従い家に帰ることにしたのです。だけど、瀏児から見てもあの二人を放置するのは危険だったが充電しないことには探しにいけないのであった。
　自宅についた二人は玄関を開け中に入る場合と葵は自室に戻り、瀏児は紅と葵の服を紅たちの部屋に運び、再び玄関に戻り自分の荷物を持って自室に戻ったのでした。
　部屋に戻った瀏児はまずケータイの充電をし、買ってきた生地と型紙で服を作り始めました。そう、瀏児はだいたい自分の服は自分のオリジナルで作るため拘りも大きく腕もプロ級なのである。
　瀏児が洋服作りに集中しているうちに夕方になり母さんからの連絡もなく心配していると玄関の方からチャイムが鳴り慌てて向かい玄関を開けるとそこにいたのは蓮矢と美優紀だった。

　「蓮矢と仲澤さんか…いらっしゃい。」

　瀏児がそう言うと蓮矢は鋭く間の悪い突っ込みをいれたのでした。

　「瀏児、早速例のやつ見せてくれよ。」
　「ああ、わかった。」

　瀏児は二人を連れて自室に向かい歩いていると目の前から葵がやって来て勉強を教えてほしいと言ってきました。
　蓮矢と美由紀は瀏児が一人っ子なのを知っているため葵の存在が不思議でならなかったのです。

　「瀏児、あの子誰だよ？」
　「例の人形の一人の葵だよ。」
　「マジかよ？！まるっきり人間じゃないかよ！？」
　「俺もビックリしたんだよ。」
　「私もあんな人間みたいなのに人形だなんて信じられないよ。」

　葵は初めて見る蓮矢と美優紀に挨拶をしながら瀏児に話しかけたのです。

　「瀏児兄さん、この方達は？」
　「葵、この二人は俺の同級生の片桐蓮矢と仲澤美優紀だ。」
　「片桐さん、仲澤さん、初めましてセブンスガールの第二ドール葵です。」

　葵の丁寧な挨拶に蓮矢と美優紀は恐縮してしまった。