銀色の月は太陽の隣で笑う
砂糖の入っていないお茶は、たっぷり入れたショウガの香りと、こちらもレモンが酸味で爽やかさをプラスしてくれている。
美味しい。美味しいのだけれどなんだろう……何か、違和感のようなものがあった。
でもその違和感を上手く説明できないから、ルウンは胸の内にしまっておく。
頭がぽうっとするのも、何か違和感があるのも、きっと明日になれば治っているはずと――。
カップから口を離し、中で揺れる琥珀色の液体をしばらく見つめて顔を上げると、思いがけずトーマと目が合った。
「ルンは料理を作るのも上手いけど、お菓子を作るのも上手だね。この間のビスケットもそうだったけど、今日のも凄く美味しいよ」
今は笑っているけれど、目が合った瞬間のトーマは、とても心配そうな表情をしていたような気がした。
それがなぜかは、ルウンには分からない。
心配されるようなことは、自分には何一つないはずなのに――。
考えても分からないから、考えることを一旦やめて、ルウンは素直にトーマの褒め言葉に喜んで笑みを浮かべる。
楽しいお茶の時間は、続いていく。
どことない違和感と、僅かな心配を漂わせて――。
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