銀色の月は太陽の隣で笑う
その反応にルウンもまた驚いて、ビクッと寝室の方に引っ込んだ。
「……お、はよう……トウマ」
「あっ、うん。……おはよう、ルン」
壁に半分隠れるようにして発せられたか細い声に、トーマもほんの少しの気まずさを滲ませて挨拶を返す。流石に、大げさに驚きすぎた気がして少し恥ずかしい。
けれど、恥ずかしがっていたのも気まずさを抱えていたのも束の間、トーマはルウンの様子がおかしいことに気がついた。
壁に隠れているせいで顔が半分ほどしか見えていないけれど、その頬は明らかに赤く染まっていて、瞳も熱で潤んだようになってとろんとしている。
「……ルン、大丈夫?」
何が?とでも言いたげな表情で、ルウンは首を傾げた。その拍子に、白銀の髪が肩から滑り落ちる。
けれど今は、その輝きを目で追っている場合ではない。
「顔が赤いけど、もしかして熱があるんじゃない?頭とか喉とかは痛くないの?」
ゆっくりとだが、ルウンは首を横に振ってみせる。いつもより格段に鈍いその動きだけでも、調子が悪そうなのは明らかだ。