銀色の月は太陽の隣で笑う

体力をつけるためには肉だ!と至った結論の元、まずは地下の食料庫からベーコンを持ってきて粗く刻む。

宿屋の女将自慢の野菜出汁がまだ残っている鍋から、ニンジン、セロリ、キャベツを取り出し適当な大きさに切ったら、炒めたベーコンと一緒に小鍋に移した野菜出汁に投入。そこに更にトマトを加えて潰しながら煮込んだら、塩と胡椒で味を整える。

器に盛ったところで上から粉末にしたチーズをかけ、出来上がった二人分のスープをお盆に載せて寝室へと運ぶ。

「入るよ」と一声かけてから寝室を覗くと、声に反応したルウンがもぞもぞと体を起こすところだった。


「大丈夫?ふらふらしない?」


コクっと頷いたルウンの膝にお盆を乗せると、トーマは自分の分の器を取り上げて丸椅子に腰を下ろす。


「今日はね、トマトスープにしてみたんだ。熱いから気をつけてね」


器の中を覗き込んでいたルウンに声をかけると、早速その手がスプーンを掴んだ。掬ったスープに息を吹きかけて、慎重に口に運ぶ。
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