銀色の月は太陽の隣で笑う
思わず抱きとめてしまったが、状況を理解するうちに心臓が高鳴るばかりでなく、顔にも熱が集まってくる。
引き離すように抱きとめていた腕に力を込めると、ついさっきまでふにゃりと力なく緩んでいたルウンの表情が、その瞬間悲しげに崩れた。
「なんで……」
「え?」
ポツリと呟かれた声が聞き取れずに疑問符を返すと、見開かれた瞳に見る間に涙が盛り上がる。
「えっ!?あっ、ちょっとルン!」
慌てふためくトーマの前で、ルウンの瞳からポロリと涙が零れ落ちた。
「なんでぇ!」
最初のひと雫を皮切りに、堰を切ったように次々と涙が溢れて止まらない。
声を上げて泣き出すルウンに、トーマはわたわたと慌てるばかり。なんで、なんでと繰り返し、ルウンはひたすらに泣き続けた。
「ご、ごめんねルン。別に嫌だったとかそういうことじゃなくて、なんていうか……だってほら!あっ、いや……とにかくごめん!本当にごめん!」
わんわんと声を上げてひとしきり泣いて、次いでぐすぐすと鼻を啜り、涙に濡れた顔を上げて、ルウンがトーマを見つめる。
「ひとりはね、さみしいの。でも、ほんとはさみしかったのに、わからなくて……。でも、ずっと……さみしかった」