銀色の月は太陽の隣で笑う
2 改めましての木の実とハチミツのパン

早起きな鳥達が、朝の訪れを知らせるように鳴きながら飛んでいく。

その時、昨夜と同様にゆっくりゆっくりと洋館の扉が開いた。

薄く開かれた隙間から、少女の片目が覗く。

青みがかった銀色の瞳でキョロキョロと辺りを見回して、また少し扉を開けると、ようやく少女はそろりと体を外に出す。

それから足音を忍ばせるようにしてテーブルまで向かうと、そこからそうっと向こう側の様子を伺った。

昨日別れた位置からほとんど動くことなく、トーマはバッグを枕に体を丸めて眠っていた。

彼がそこにいることも、まだ寝ていることも確認した上で、少女は再び足音を忍ばせるようにして来た道を駆け戻る。

程なくして、今度は洗いたての洗濯物を山と積んだカゴを手に、腕にはもう一つ空のカゴをぶら下げて、少女は再び外へ。

眠るトーマにチラリと視線を送ってから、少女は館の端にある物干し場へ向かった。

積み上げた洗濯物を全て干し終わると、空になったカゴをその場に残して、今度はもう一つ持ってきていたカゴを手に館の裏に回る。

そこにあるのは、畑と鶏小屋。
< 19 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop