銀色の月は太陽の隣で笑う
2 改めましての木の実とハチミツのパン
早起きな鳥達が、朝の訪れを知らせるように鳴きながら飛んでいく。
その時、昨夜と同様にゆっくりゆっくりと洋館の扉が開いた。
薄く開かれた隙間から、少女の片目が覗く。
青みがかった銀色の瞳でキョロキョロと辺りを見回して、また少し扉を開けると、ようやく少女はそろりと体を外に出す。
それから足音を忍ばせるようにしてテーブルまで向かうと、そこからそうっと向こう側の様子を伺った。
昨日別れた位置からほとんど動くことなく、トーマはバッグを枕に体を丸めて眠っていた。
彼がそこにいることも、まだ寝ていることも確認した上で、少女は再び足音を忍ばせるようにして来た道を駆け戻る。
程なくして、今度は洗いたての洗濯物を山と積んだカゴを手に、腕にはもう一つ空のカゴをぶら下げて、少女は再び外へ。
眠るトーマにチラリと視線を送ってから、少女は館の端にある物干し場へ向かった。
積み上げた洗濯物を全て干し終わると、空になったカゴをその場に残して、今度はもう一つ持ってきていたカゴを手に館の裏に回る。
そこにあるのは、畑と鶏小屋。