銀色の月は太陽の隣で笑う
まず小屋の方に向かった少女は、鶏達を驚かせないようにそっと中に入って、持っていたカゴに産みたての卵を入れていく。
それから中を掃除して餌をまくと、我先にとがっつく姿をしばらく眺めて、またそっと小屋を出る。
次は畑に向かい、収穫できそうな野菜を幾つかカゴの中へ、先に入っている卵が下にならないようにこれまたそっと入れていく。
そのあとは、畑に水やり。
葉についた水滴に日光が反射してキラキラと輝くのをしばらく眺めて、少女は来た道を戻った。
途中で物干し場に寄って空のカゴを拾うと、ついでにトーマの様子を伺う。
未だその両目は気持ちよさそうに閉じられていたので、少女は声をかけずに館に戻った。
そして、取り掛かるのは朝食作り。
まずはスープ、前の晩に煮込んでおいた肉とニンジン、タマネギにカブやセロリが入った鍋を火にかけて温め直し、塩と胡椒で味を整える。
次にカゴから取り出した卵に塩と胡椒を入れて解きほぐすと、バターを入れて馴染ませておいたフライパンに流し入れ、半熟に仕上がるよう手早く混ぜて形を作る。
出来上がったオムレツを皿に盛り、その脇にパンを添え、スープを器に注げば朝食の完成。